とりにっき

にっき(不定期更新)

人はいつやる気が出るのか、あるいは希望と絶望について

これは人類史上最も重要な問題である。なぜなら、やる気が出なければ、何もできないからである。

やる気なしに勉強はできない。やる気なしに仕事もできない。やる気がないと思っている場合でも、消極的な理由でやる気が出ていることもある。

ここでは、タスクの性質に応じてどのような場合にやる気が出るのかの経験則をまとめてみたい。

 

1.絶対にやらなければならないタスクへのやる気

これは今やる気が出なくても全く問題ない。なぜなら、締め切りがやる気を駆動するからだ。なので、このタスクへのやる気の出し方は考える必要がない。

…というと乱暴なので、このタスクの場合いつやる気が生まれるかを議論したい。やらなければいけないタスクへのやる気はいつ生まれるか、それは「タスクが終わらないことに絶望したその瞬間」である。

このことを最も端的に表しているのが、「クズの俺が今から努力して間に合うか!?」という一節である。

つまり、目の前の1mmも進んでいないタスクの惨状を真の意味で認識し、絶望した時にやる気が駆動される。

これはある意味でピュアなやる気である。やるしかないので、他の動機はなく、純粋にやることに打ち込める。

余談だが、『限りある時間の使い方』という本にも似たようなことが書いてあった。詳細は省くが、そこでも絶望することが、有意義に時間を使う第一歩だと述べられていた。

あるキャラクターは「だって希望は、前に進むんだ」と言った。しかし現実は絶望の方が物事を前に進める力をもっているのである。

 

2.やった方がいいタスク(必須ではないもの)へのやる気

大抵の場合問題になるのはこちらである。なぜなら、このタイプのタスクはやらなくてもなんの問題もないからである。やらなければならないタスクは、やってみて(あるいは締め切りに駆動されて)、タスク達成までの距離がわかれば勝手にやる気が駆動する。つまり最初の一歩は必ず踏み出せる。

一方で、こういう自己研鑽に高いタスクの場合は、自分で一歩を踏み出さないといけない。そこで、自分の中での現時点での対処法をまとめてみたい。

 

a.習慣化する
例えば興味のある講義を大量に履修(あるいは潜る)ことがそれにあたる。自分から勉強する気力が湧かないのであれば、勉強する環境に身を移すという考え方だ。特に対面講義のように、集中力の如何に関わらず進んでいく形がベストだろう。オンデマンドだと再生ボタンを押すまでの距離が恐ろしく遠くなる可能性がある。

 

b.一気にやる
一見 a.習慣化する と矛盾しているようだが、矛盾はしていない。集中講義のイメージがそれに近い。

やる気が湧かないなら短期決着で勝負を決めて、継続的なやる気が必要ない形にするというものである。

「鉄は熱いうちに打て」というように、「やる気も熱いうちに打つ」のである。しかし、これは長期的な努力を必要とするものには適用できない。あくまで1日、長くても数日で終わるものでないと、やる気が冷めきってしまう。

あるいは、1日で終わるものであっても、取り組んでいるうちにやる気が失せることもあるかもしれない。

 

c.脳内物質を威嚇する

まだページを戻るのは待って欲しい。100%精神論だけど待って欲しい。

なお以下の記述は科学的根拠を欠くので、まったくもって事実とは異なることが書いてあると思ってもらって構わない。なんかやばいことが書いてあるが、自分もこれを信じているわけではない。要はネタである。

やる気が起きるメカニズムは知らないが、ドーパミンとかいうのもあるし、やる気には脳内物質が関わっていそうな気がする。

だとすれば、あなたのやる気のなさは脳内物質によって作り出されたまやかしかもしれない。だからこそ、脳内物質を威嚇することでやる気の主導権を取り戻すのだ。

 

d.やらない

これはある意味もっともラディカルな選択肢である。なぜやる気が出ないことに苦しんでいるのか?それは簡単で、やろうとしているからである。

例えば私は山に登れないことを苦痛には思わない。なぜなら山に登りたくないからである。一方で、山は憧れを持っている人からすれば、山に登れないことは苦痛を生むかもしれない。

私はやりたい分野の数学書を読めていない時(読める時間があるにも関わらず読みもしない時)に苦痛を感じるが、一方で数学と無縁な人からすればむしろハッピーに思うかもしれない。

絶対にやらなければならないタスクへのやる気とは異なり、こちらはこうした絶望がますますやる気を奪っていく。

であるとすればそもそも「やった方がいい」という幻想を捨てた方が早い気もする。そんなアプローチがやらないという行動の意味である。

 

以上、4つの方法を挙げてみたが、正直どれもタスクの性質を選ぶ気がしている。a.習慣化する は学びたい大学の講義がある場合有効だが、そうではない内容を学びたい時には使えない。

d.やらないも強力な解決法だが、結局やっていないので「やる気を起こす」という観点からはズレている。

 

私はまだどんなタスクにも有効なやる気の起こし方を知らない。取り組むべきタスクは挙げればきりがないが、それらは遅々として進んでいない。

やった方がいいタスクが進んでいない絶望に苛まれ、タスクへのやる気を喪失している。

一方で絶対にやらなければならないタスクが後回しになっている現状に絶望することで、タスクへのやる気を生み出している。

いつか絶望を飼い慣らし、すべてのタスクに取り組める日は来るのだろうか。できれば希望を胸にタスクに取り組みたいものである。

 

(2023/10/30追記)

続編(?)として習慣を作ろうとした時の話を書いてみました。

https://fired146.hatenablog.com/entry/2023/10/30/200000